マイナス金利は○○税導入の布石か?
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おカネのいらない世界…
冒頭、主人公のひとり野比のび太がママに手を横に振られているシーンからスタート。
どうやらお小遣いの値上げ交渉に失敗したようです。
ドラえもん「君はいつもおカネのことで苦労しているね?」
のび太「そうなんだ、いつも苦労している」「あ~あ、おカネのいらない世界に住んでみたらどんなに気楽だろうな…」
ドラえもん「じゃあ、住んでみる?」
ということでこんな世界になったらという世界(パラレルワールド)を作り出せるドラえもんの道具の1つ昔の公衆電話ボックスのような外見の「もしもボックス」という道具が登場します。
で、それを使って「おカネのいらない世界を体験したい」って言ったら…
さぁ、「おカネのいらない世界」のパラレルワールドの始まりです。
いきなり、ドラえもんの話ですいません。
マイナス金利と聞くと、どうしてもこの話を連想してしまうもんで…
おカネを預けると金利をもらうという当然のパラダイムからおカネを預けると金利を払うという真逆のパラダイムですからね。
マイナス金利も預金をすると金利をもらえるから金利を払うという真逆のパラダイムです。
そのマイナス金利の導入ですよ。
それは1月29日のことでした。
昼休みに株式相場(日経225先物)をスマホでチラ見してたんですが、まずは突然の怒涛の急上昇が始まりました。
当日は日銀の政策決定会合をやっているのはわかってましたから、
「お~、追加緩和!?」
なんて思っていたら、直後にマイナス金利導入なんて話が…
まぁ、はっきり言ってビッグサプライズでしたね。
驚きました、イヤほんと。
当然マーケットもまさかの展開に唖然としたんでしょうね。
本当言うとなんかちょっと前からちょろちょろと日経新聞側にそういう情報が漏れていたようで、日銀の情報漏えい対策はいったいどうなっている!?
ま、話を戻します。
ところが緩和期待で上昇した後、金融機関の業績悪化を不安視する見方が台頭してすぐに株価は急落。
日経平均はわずか40分程度で千円を超えるような幅で乱高下したわけです。
結局、その日は緩和はプラスと考える勢力のほうが強くて株価は大幅上昇で終わりました。
日銀の金融政策に一喜一憂して市場が振り回された一日になったわけです。
というわけで、日銀が現在金融緩和を実行しているのはご存知のとおりだと思います。
で、日銀の現在実行している金融緩和は
①量的緩和
②質的緩和
というものです。
①量的緩和とは
マネタリーベースが年間80兆円ずつ増えるように金融市場を調整するというものですね。
マネタリーベースとは、「日本銀行が供給する通貨」のことで、具体的には、
市中に出回っているお金である流通現金
→「日銀券発行高」+「貨幣流通高」と「日銀当座預金」の合計値です。
つまりマネタリーベース=「刷ったお札」+「出回っている硬貨」+「金融機関が日銀に預けている預金」
ということですね。
②質的緩和とは
・国債の保有残高が年間80兆円増えるように買入れる
→国債の利回りを低めに誘導する ため
・ETFとJ-REITの保有残高もそれぞれ年間3兆円、年間900億円増えるように買入れる
この①量的緩和②質的緩和に加えて、今回はマイナス金利を導入するわけです。
マイナス金利とは何か?
このマイナス金利…
どうしても我々日本人にはピンとこないかもしれません。
いや、日本人の枠組みをはずしても普通にピンときませんよね。
基本的にはこういうことは中央銀行しかできません。
で、中央銀行である日銀の主な機能としては、
・お札を刷る→発券
・市中銀行にお金を貸し出す、または預かる→銀行の銀行
・国債の売買をする→政府の銀行
この3つです。
この3つの機能があるために「通貨の番人」なんて言われたりしますね。
ここらは学校で習いましたよね?
マイナス金利はこのうちの「銀行の銀行」ということに関連しています。
「銀行の銀行」システムを使ってマイナス金利政策をするとは?
前述したように、金融の調整のために日銀は「銀行の銀行」つまり銀行にお金を貸し出したり預かったりしているんですよね。
まず、日銀から銀行への貸出なんですが、
・貸出支援基金
というのがあって、産業育成のために金融機関に担保をとって資金供給をするのはありますが、日銀が金融機関に融資をするといえば、なんてったって
・日銀特融
ですよね。
金融システムがヤバいときにこれをやりますが、今日は詳しく書きません。
で、民間の金融機関からおカネを預かる方なんですが、「国債の売買」と密接に関係があります。
日銀はどこから国債を買い入れるかということです。
これは上に書いた日銀の金融緩和の ②質的緩和で国債を大量に買入れる必要があるんですよ。
国債の買入れは政府から買うのではなくって、民間の金融機関から買入れます。
政府から直接買えば簡単なんですが、民間の金融機関がワンクッション入っているわけですね。
なんでそんなことをするかというと、日銀が政府から直接買取ることは法律で禁止されているからです。
禁止しているのは財政法という法律ですよ。
財政法
(昭和二十二年三月三十一日法律第三十四号)第五条 すべて、公債の発行については、日本銀行にこれを引き受けさせ、又、借入金の借入については、日本銀行からこれを借り入れてはならない。
但し、特別の事由がある場合において、国会の議決を経た金額の範囲内では、この限りでない。
つまり、日本国債は1度は民間の金融機関に入札というセレモニーを経ないと国債を買入れることはできないわけです。
で、民間の金融機関から国債を買入れるわけですが、民間の金融機関は当然売却代金を日銀から受け取ることになるわけです。
この売却代金がどうなるかというと…
日銀当座預金、略して日銀当預(にちぎんとうよ)というんですが、ここに売却代金が積み上がっているわけです。
つまり、「銀行の銀行」として民間の金融機関からおカネを預かるのは日銀当預というわけですね。
今までの日銀当預の金利、つまり日銀が金融機関からおカネを預かって、その見返りとして支払う金利が0.1%です。
で、マイナス金利なんですがこの0.1%部分をいきなりマイナス金利にするという話ではないんですね。
今まで0.1%の金利をつけていた部分には、従来どおりこれは維持されるということです。
これを超えた額に対して民間の金融機関にマイナス金利として0.1%払ってや~ということですね。
細かく言うとゼロ金利部分もあるので、本当は0.1%の部分とゼロ金利の部分を足した額を超えたら、マイナス金利を払ってね!ということですが…
1.3段階の階層構造
(1)基礎残高(+0.1%を適用) 「量的・質的金融緩和」のもとで各金融機関が積み上げた既往の残高につい ては、従来の扱いを維持する。具体的には、各金融機関の日本銀行当座預金残 高のうち、2015 年1月~12 月積み期間(基準期間)における平均残高までの 部分を、既往の残高に対応する部分として、+0.1%を適用する。
(2)マクロ加算残高(ゼロ%を適用) 以下の合計額にはゼロ%を適用する。
① 所要準備額に相当する残高
② 金融機関が貸出支援基金および被災地金融機関支援オペにより資金供給 を受けている場合には、その残高に対応する金額
③ 日本銀行当座預金残高がマクロ的に増加することを勘案して、適宜のタ イミングで、マクロ加算額((1)の基礎残高に掛目を掛けて算出)を加 算していく。
(3)政策金利残高(▲0.1%を適用) 各金融機関の当座預金残高のうち、(1)と(2)を上回る部分に、▲0.1% のマイナス金利を適用する。
日本銀行HPより
なのでマイナス金利といえばインパクト大なんですが、マイナス金利の対象になる部分が極めて限定的なんで、個人的には効果は疑問だと思っています。
そもそも、日銀ってマイナス金利なんか導入しなくてもいいんじゃないか?と思いますね。
マイナス金利導入は預金税の下地作りか?
そもそも、今までの日銀当預の残高を超えた額でしかマイナス金利は発生しないと書きました。
ちなみに現状の日銀当預は約260兆円弱です。
でも、日銀当預に0.1%といえども金利がつくのは本来ならおかしいんですよ。
知ってました?
順番を追って説明しますね。
日銀が民間の銀行から預金額によって一定の割合を強制的に預かることを準備預金制度といいます。
この一定の割合を調整することによって、金融政策を行うというのも中央銀行の役目でもあります。
で、強制的に預かることができる金額は現在のところ約8兆7000億円。
これに対して、日銀当預全体では259兆円くらいに膨れ上がっています。
つまり、差し引き250兆円以上ものおカネは民間の金融機関が自主的に日銀に預けているものということになります。
この自主的に預けている部分を超過準備金といいます。
本来ならこれには利息をつける必要はなかったんですよ。
これに対する利息が付くようになったのは、2008年11月から。
リーマンショックによる金融機関の安定化対策のため臨時に導入されたものですからね。
ちなみにこれを補完当座預金制度といいます。
金融政策の変更について
(3)補完当座預金制度の導入(全員一致(注4))
金融市場の安定を確保する観点から、年末、年度末に向け、積極的な資 金供給を一層円滑に行い得るよう、日本銀行当座預金のうち所要準備額を 超える金額について利息を付す措置を臨時に導入し、11月積み期から来 年3月積み期までの間、実施することとする。適用利率は、0.1%とす る。
(別添2)
3. 補完当座預金制度は、臨時の措置として、いわゆる「超過準備」2 に対して、 コールレートの誘導目標を下回る利率によって利息を付すものである。本制 度の導入によって、コールレートを目標水準に適切に誘導しつつ、積極的な 資金供給を一層円滑に行い得るようになり、金融調節面での対応力の強化に つながるものと考えている。
4. 本制度の適用利率は、短期金融市場の円滑な機能を確保することに配慮し、 コールレートの誘導目標(0.3%)から0.2%を差し引いた0.1%と することとした。本制度は、本年 11 月の準備預金積み期(11 月 16 日~12 月 15 日)から来年 3 月の同積み期(3 月 16 日~4 月 15 日)まで実施するこ ととしている。
2008年10月31日
日本銀行
これを実施した翌月には、コールレートが0.1%になっていますからね。
すでにこの時点でコールレートを下回っていないわけなんですが…
本来なら2009年の春に日銀当預はゼロ金利になっていないといけないのに、おかしなはなしです。
なので、効果が疑問な今回のマイナス金利導入よりも補完当座預金制度をやめるほうがスジが通っていると思うんですけどね…
マイナス金利導入なんて、うまく行かなかったら本当に後がなくなるかもしれない最後の手段かもしれませんよ。
補完当座預金制度が残してあえてマイナス金利をやるということは、アナウンス効果を利用しようとしているんでしょうか?
つまり、日本人にマイナス金利という言葉に慣れさせて、「預金をすると手数料みたいにおカネを取られる」という意識を植え付けている?
預金をしても利子はつかないゼロ金利という概念を日本人に植え付けることにはほぼ成功しました。
次は預金額に応じて一定割合を税金にですね。
例えば100万円の預金があれば、1%なら1万円、0.1%なら1000円を毎年…という具合にです。
考えすぎでしょうか?
・マイナンバー制度
・出国税
・国外財産調書制度
・財産債務調書制度
近年に制定された主な制度だけでもこんなにありますよ。
そういえば、日銀の黒田総裁は財務官僚出身でしたね。
財務官僚はとにかく増税したがっていますよね。
まさか将来の預金税とか…
なんてことも少しは頭の隅においておいたほうがいいかもしれませんね。
死亡消費税なんて話もありますしね。
冒頭のドラえもんの話。
おカネのいらない世界にのび太はすぐに失望して「元に戻して~」となったわけです。
黒田総裁もマイナス金利に失望して「元に戻して~」とならなければ…
いえ、その結果日本国民が「元に戻して~」にならなければいいんですけど。
それでは。