民主党議員の国会の質問がアホすぎると騒然になっている件
2016/01/13
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こんにちは、ゴルゴ31です。
いきなりですが、今日の日本は「徐々」に衰退の道を歩んでいるの「かもしれません」。
「徐々に」「かもしれません」じゃなくて、「急速に」「間違いなく」かな?
どちらかはさておき、原因はいろいろあるでしょうけど、政治も原因の1つということはまず間違いないでしょう。
なんでいきなりこんな話をするのかというと、2016年1月8日の野党議員の質問がにわかに物議を醸しているからです。
質問をした議員は民主党の山井和則(やまのいかずのり)議員です。
京都6区で衆院選で6度当選して、厚生労働省政務次官や民主党の国対委員長も務めた経歴があるので民主党の中でも「大物」と言っていい人でしょう。
そんな彼の国会(補正予算案)での質問にネット上では多くの疑問の声が上がっています。
まずは、背景です。
正確を期するために民主党のHPから引用しておきますね。
衆院予算委員会で8日、2015年度補正予算の基本的質疑が行われ、民主党の2番手として同委員会筆頭理事の山井和則議員が質問に立ち、(1)ワタミ過労死訴訟(2)年金生活者等支援臨時福祉給付金(3)株価の下落による年金の運用損(4)軽減税率――等に関して取り上げ、安倍総理の認識をただした。
出典 民主党のHP
このうち、(3)株価下落による年金の運用損についての質問に世間から多くの疑問の声が上がっているわけです。
柔らかく書いてますけど、結構ネット上では辛辣ですよ。
「アホ過ぎる」「コントかよ」などなど…
民主党は保守層から嫌われていますからね。
特にそういう保守層から多くの疑問の声が上がっているわけです。
ま、ボクも一応保守なんで、今回の質問についてボクなりに回答してみますね。
山井和則氏(以下、山井議員):アベノミクスで現役世代や子育て世代の生活が良くなっているのか。
実際、世論調査では7割以上の方々が景気回復を実感していないという答えが出ているんです。
いくら安倍総理がペラペラと「景気良くなってる」って言ったって、実態はみんな苦しんでいるわけですよ。
そんな中でただ今、株価も下落しております。
この4日連続、株価が下がったのは21年ぶりです。
そして今も乱高下しておりますが、もし今日も株価が下がったら、1949年の東京証券取引所開設以来、史上初のことになってしまいます。
今日も株価が下がったら、これは深刻な状況です。
中国経済の問題、北朝鮮の核実験の問題、中東情勢、さらに原油安等々、本当に先の見えない状況ですが。
昨年7月から9月で、7.9兆円、年金積立金、運用損が出ました。
これ、過去最大なんですね。今までこんな損が出たことはありません。
そこで質問通告もしておりますので、安倍総理にお伺いしたいんですが。
この4日間で約7パーセント株が下がりました。
7月から9月のときに14パーセント下がって、約8兆円年金の運用損が出ております。
その約半分がこの4日間で下がったわけですから。
これ、質問通告もしておりますが、ということは約4兆円くらいの年金がこの4日間で運用損になっているという可能性があるということですか。
前段にあるアベノミクスにより生活はよくなっているのか?には確かに良くなっていませんね。
実質賃金がほぼずっとマイナスですから。
ここは同意できます。
次は株価についてのところです。
この質問は1月7日の質問です。
翌1月8日も日経平均株価はマイナスで終わっていますので、大発会から5日連続マイナスは東証発足以来初です。
とは言え、年初からNYも上海もほぼマイナス…というか海外のマイナスの影響をモロ受けているので、政権を追求したところであまり意味は無いですよね、短期的には。
また、確かに山井氏の言うように、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人、Goverment Pension Investment Fund)の2015年度の第二四半期(7~9月)の運用実績は
▲5.59%
▲7兆8899億円
です。
繰り返しますが、ここは山井氏の言うとおりです。
ただ、この質疑に対して安倍総理の答弁であるように、民主党政権から自民党政権になって大幅に運用益が増えたのも事実です。
民主党という党そのものが、アンチビジネス的というかアンチマーケット的というかお花畑というべきか…政権をとった時に経済に対して一向に理解がないのがバレてしまったので、今でも政党支持率が上がりませんよね。
運用益に関してちょっと細かく見ていきますと、安倍政権発足が2012年度第3四半期です。
この時のGPIFの運用残高が約112兆円です。
で、2015年の9月末の同じ数字で約135兆円です。
つまり、運用残高で△23兆円の増額になっているわけですね。
ただ、累積収益額では民主党政権時から30兆円程度増えているわけで、(安倍総理は答弁で33兆円と言ってますが)差し引いた7~10兆円は年金の支払やその他で消えていることになりますね。
繰り返しますが、民主党政権時から比較すると30兆円くらいは増えているわけで、民主党政権時に中枢にいた人物からこのような質問が出るのは滑稽というのが巷の評判なわけです。
民主党政権下では運用残はほとんど増えていないですからね。
日経平均も1万円を切って低迷してましたからね、海外の株が急回復していた時期にですよ。
(民主党の擁護をすると、東日本大震災という不幸が重なりましたけどね。)
山井議員
なんで安倍総理は質問したことに答えられないんですか?
私の質問はこの4日間で7パーセント下落したら、約4兆円の運用損の可能性がありますねということを、質問通告しているわけです。
長々と答弁して、そのことにお答えください。
上記のように、山井氏は半ば切れながら質問しています。
当然、相場は下落していますから運用損の可能性は大いにあります。
その額は指摘の通り4兆円かも知れません。
ただし、年金の運用なんて20年とか30年とかさらにもっとの超長期投資になりますから、たった1週間くらいの上げ下げでイチイチ一喜一憂しても仕方がないわけです。
ボクはヤマノイ先生に永遠に右肩上がりでそれなりの運用益が上がる方法があったら、是非聞いてみたいものです。
山井議員
この4日間で約4兆円の運用損があったかもしれないことを、ちっちゃいこととおっしゃいますが、1日あたり1兆円の運用損が出ている可能性があるわけですよね?
これはなぜかというと、結局年金積立金の株式運用比率を増やして、アベノミクスと称して、それを年金積立金を10兆円も株に投資していったら、そりゃ株は上がりますよ!
でも安倍総理、こういうのを官製相場というんですよ。
結局こういう無理をして、公的年金マネー、国民の年金マネーを生計維持のために支持率拡大のために、株価を上げるために流用する。
そういう無理なことをすると、いずれ暴落してしまうリスクを負うんです。
本来、国民の年金積立金をこのようなリスクに晒すのは、私は問題だと思っております。
これについて今回の政権は驚くべきことをやっている。
確かに公的資金を大量に株に脈略なく突っ込むのは官製相場と言われても仕方がないわけです。
この年金資金に加えて、日銀も毎月3000億円をETF(上場型投資信託)を通じて株式マーケットに投入していますからね。
やり過ぎると確かに官製相場ですね。
ただ、今までの国内の年金運用と海外の代表的な公的年金基金がどうなっているかを比較しないと、単なる偏見になってしまいます。
民主党政権時には本当にGPIFの運用がパッとしませんでしたからね。
リスク回避をうたうのは当然なんですが、じゃあどうする?に民主党の議員は答えてくれないんですよね。
で、話を戻しますけど、メジャーな海外の公的年金基金はどうなっているか?ですね。
ノルウェー政府年金基金
について書いてみます。
ここはGPIFに次いで世界第2位の運用残高を誇りますね。(2013年度末時点)
ノルウェー年金基金の内訳
・(国内外)株式 62.8%
・(国内外)債券 34.5%
・不動産 2.7%
※(国内外)というのはどこも分散投資で使うので、今後は省きます。
簡単に言うと株3分の2程度、債券3分の1程度、不動産ちょっぴり…という感じですね。
3分の2は株で運用していますね。
山井議員が聞いたら、卒倒しそうな比率です。
日本のGPIF(公的年金)の運用比率は後述しますね。
ちなみに、ノルウェーも2007年までは日本と同様、株の運用比率は抑えてましたよ。
その頃の運用比率は
・株式 40%
・債券 60%
です。不動産投資は2011年から始めていますね。
また、面白いのは2004年~2013年の10年間の平均運用利回りが公表されていて、年率6.0%ですね。
この間にはリーマン・ショックやソブリン債ショックなんかもあったんで、6.0%はまぁまぁじゃないでしょうか?
そして、2013年の運用利回りは内訳も公表されています。
ちなみにこの年の運用利回りは年率で15.9%でした。
15.9%なんていう運用利回りは、もしも日本の長期国債のみで運用していたら50年以上かからないと得られない利回りです。
で、内訳なんですが…
・株式利回り 26.3%
・債券利回り 0.1%
・不動産利回り 11.8%
株と不動産の利回りは健闘しているんですが、当初組み入れ比率の大きかった債券の利回りの悪さに引っ張られて、15.9%にとどまったというのが理由のようですね。
もしも、安全性のみを求めて債券に集中投資していたらどうなっているんでしょうね?
もう1つの超有名な公的年金基金
カルパースについて
おっと、カルパースなんですが…CalPERS、「The California Public Employees’ Retirement System」、つまり米国カリフォルニア州公務員年金基金のことですね。
公的年金基金のくせして(?)投資した企業の経営にイロイロと口出しをする「モノ言う投資家」として有名な存在です。
そのカルパースの基本運用比率は
・株式 60~65%
・債券 20~25%
・不動産など 15%程度
ですね。
株の比率はカルパースもノルウェー政府年金基金も同じ程度です。
不動産の比率がノルウェーよりやや大きいのが違いですかね。
一方、日本のGPIFはどうか?
直近はこんな感じ。(安倍政権以降)
・株式 43%
・債券 53%
・現預金 4%
債券が依然、半分以上です。
それでも、以前はもっと保守的運用方針でした。
つまり、安倍政権前をざっくり言うと
・株式 20%
・債券 80%(ほぼ日本国債)
驚くほど国内債券に傾斜していますよね。
しかも、国債ばっかりですよ…
低金利の日本国債の受け皿になっていると言われても仕方がないくらいです。
しつこいですが、ノルウェーもカルパースも
・株式 3分の2
・債券+不動産 3分の1
くらいの割合の運用です。
山井議員
昨年の10月から低格付債、ジャンク債、ハイリスクハイリターンの、低格付債のリスクの高いものに、私たちの大切な年金積立金を投資することになったんですね。
私の知り合いの方からも昨日電話があって「株が下がって大変だ」と、「年金大丈夫か」と、結局安倍さんが政権維持のために支持率拡大のために年金マネーをどんどんつぎ込んでいってると。
でも株の投資を年金から増やしただけじゃなくて、昨年10月からは低格付債、これ、ギリシャ国債とかも含まれるんですよね?
安倍総理。国民が知らないあいだにギリシャ国債とか、そういうハイリスクハイリターンなものに、年金を。アルゼンチンとか中国国債とか、そういうものも含まれます。投資するのは問題だと思います。
部分的には正しいんでしょうが、質問の戦略は間違っていますよね。
まず、正しい部分はGPIFのような性質の資金をジャンク債なんかに投じていいのか?という部分。
これは個人的には正しいと思います。
ま、現在のところ額にして、1兆円程度なんで130~140兆円の運用資産があるGPIFからしたらごくごく一部なんですけどね。
ジャンク債とは格付けでBB+以下の格付けの債券です。
つまり、BBBマイナス未満の債券のことでこれは一般には投資不適格と言われるものです。
ただし、ギリシャ国債の名前を出したのは明らかに失敗ですね。
10月からジャンク債運用が解禁になったとしても、ギリシャ債なんか買うわけ無いでしょう。
もう、ホンマにアホな質問過ぎます。
せめてブラジル国債かシェールガス関連企業の社債程度に留めるべきでした。
ブラジル国債は今やBB+、つまりジャンク債ですからね。
余談ですが、つい最近までブラジル国債を高金利(年利で10%前後)をエサに日本の個人投資家に売りまくってきた証券会社があります。
買う方も買う方ですが、売る方も売る方ですね。
戻します。
前述したように、世界の年金基金の運用比率から比較するとあまりに低金利である日本国債の運用比率が高すぎました。
これを「世界標準」に近づけるために株の運用比率を高めただけに過ぎません。
現在の10年国債の利回りは0.3%を切っています。
ということは、国債ばかりで運用してしまうとGPIFの運用成績もこれに近づいていくわけで…
かたやノルウェーの10年間の平均運用利回りは6.0%ですよ。
山井議員
11月30日にギリシャ国債を買ってないと答弁したのは問題だったということで。
実は具体的な銘柄を何買ってるか言ったらダメなことになっているんですよ。
ですから、現時点においては、どこを買っているか、ギリシャ国債を買っているかどうかも答弁できないということになってるわけですよ。
それをまたこういう場所でおっしゃるというのは、非常に違法行為を黙認される形で問題だと私は思います。
そして、安倍総理にお伺いしたいと思いますが、このようなギリシャ国債を買ってるか、買ってないかも永遠にわからない、そういうことをやること自体は国民の年金生活者に対してたいへん私は失礼だと思います。
国民の年金を私物化するのはやめていただきたいと思います。
こういう株式投資を増やしたり、ギリシャ国債に投資できるようにしたり、本当に問題が多いと思います。
この質問は本当にくだらないですね。
ギリシャ債の下りに関しては重箱の隅をつつくにも程があるという感じですね・
また、保有している特定銘柄について明かせないようにはしていますけど、ある程度推測は出来てしまうわけですね。
なぜなら、ベンチマークがあるから。
ベンチマークとは比較対照するためのものです。
例えば、国内株式のベンチマークはTOPIX(東証株価指数)。
TOPIXがプラス10%なら例えば国内株の運用益はプラス11%なら、まずOKとか。
そんな感じですね。
そうすると、TOPIX採用銘柄を中心に買うに決まっているじゃないですか。
こういう風に、国内債券のベンチマークはNOMURA-BPI他、外国債券ならシティ国債インデックス(除く日本)他、外国株式はMSCI KOKUSAI、MSCIエマージング などの複合インデックス 他を使います。
ベンチマークに大きく負ける運用をするのが一番まずいわけなんで、大きく運用利益をあげようとするよりもいかにベンチマークに負けないかの運用比率になりますね。
いずれにせよ、よっぽどうまく増やさないと今の年金制度は恐らく維持できません。
野党も重箱の隅をつつく暇があったら、もうちょっと建設的なことを考えたほうがいいと思います。
まとめ
・年金のような超長期の運用では短期間の運用成績に一喜一憂しない
・とは言え、あまりジャンク債などリスキーな運用対象は組み入れるべきではない
・日本は株式の組み入れ比率がまだ低い
・野党は細かなことに文句言いすぎ&質問内容が幼稚すぎ
それでは。